
タトゥーや刺青を入れたあと、「何を塗ればいい?」「ワセリンやオロナインで代用できる?」「フィルムを貼っている間もクリームは必要?」と迷う方は多いと思います。
アフターケアでは、何を塗るかだけでなく、いつ塗るか・その時の皮膚がまだ傷の状態か・保護フィルムを使っているかまで分けて考える必要があります。
また、タトゥー後のケア方法はスタジオや彫師によっても異なります。
一般社団法人 日本タトゥーイスト協会が2025年に公表したアンケートでも、ワセリン、オロナイン、ビタミンA+D入りクリーム、タトゥー専用品、一般的な保湿剤、ドレッシングフィルム(傷口を覆って保護する透明フィルム)など、実際に案内されている方法には幅があります。
この記事では、施術数日前 → 麻酔クリーム除去後 → 施術直後 → フィルム中 → フィルムを外した後 → 皮むけ期 → 治癒後の順に、「何を塗るか」「塗らない方がよい場面」を整理します。
施術数日前
乾燥肌なら、普段から使い慣れた低刺激の保湿剤で肌を整えるのは選択肢です。
アフターケア用の薬・軟膏を、事前に塗り込む必要はありません。
施術当日・麻酔クリーム除去後
施術前は余分なクリームを追加せず、施術者が皮膚を清潔に整えられる状態にします。
施術直後
新しいタトゥーは傷のある皮膚です。
施術者が指定したアフターケア方法を優先し、家庭にある軟膏を自己判断で追加しません。
セカンドスキン中
基本的に、フィルムの上からクリームを塗る必要はありません。
フィルムの下へ塗る場合も、その製品の説明と施術者の指示を優先します。
フィルムを外した後〜治癒後
やさしく洗浄して十分に乾かし、必要に応じて適切な保湿を行います。
皮膚が落ち着いた後は、通常の保湿と紫外線対策へ移行します。
タトゥー前から治癒後まで|クリームを使うタイミング
施術前|数日前〜麻酔クリーム除去後
数日前:乾燥する場合は、普段使い慣れた低刺激の保湿剤で傷のない皮膚を整える程度にします。
施術当日:施術直前に、油分の多いクリームを自己判断で追加しません。
麻酔クリーム除去後:十分に除去して使用状況を施術者へ伝えます。アフターケアクリームは施術前の代替品ではありません。
施術直後
施術者が適切な軟膏・保護材を使う場合があります。
自宅にある薬やクリームを、自己判断で追加しません。
保護フィルムを貼っている間
通常は、フィルムの上からクリームを追加する必要はありません。
剥がして塗り直すかどうかは、製品説明と施術者の指示を優先します。
フィルムを外した後〜治癒後
フィルム後:洗浄・乾燥後、傷への使用が認められた製品や、施術者が案内したアフターケア用品を薄く使用します。
皮むけ・かさぶた期:乾燥させすぎず、厚塗りや蒸れを避けます。かさぶたや薄皮は無理に剥がしません。
治癒後:通常の保湿へ移行し、紫外線対策も続けます。
施術の数日前から保湿しておくのはOK?
乾燥しやすい方は、施術の数日前から普段使い慣れた保湿剤で、傷のない皮膚を整えておく方法があります。
新しい製品を試すのではなく、普段どおりのスキンケアで乾燥を防ぐ程度に考えてください。
ただし、これは「薬用軟膏を塗り込んでおけば治りやすくなる」という意味ではありません。
アフターケア用の医薬品や軟膏を、予防目的で何日も塗り続ける必要はありません。
施術前の保湿で意識したいこと
- 普段から使い慣れている保湿剤を使う
- 傷・湿疹・強い日焼けがある部位へ無理に塗らない
- 施術直前に新しい化粧品を試さない
- 施術当日の保湿はスタジオの案内を優先し、直前に油分の多い製品を自己判断で追加しない
- 肌荒れ・出血・強い炎症がある場合は、クリームで隠さず施術者へ伝える
施術前に肌を整える目的なら、特定の「タトゥー用アフターケア軟膏」を使うことよりも、普段の保湿・日焼けを避ける・皮膚を傷つけないことを優先した方が分かりやすいでしょう。
麻酔クリームを拭き取った後にアフターケアクリームを塗る?
TKTXなどの麻酔クリームをタトゥー施術前に使用した場合、施術前にはクリームを十分に除去し、使用した商品・塗布時刻・除去時刻などを施術者へ伝えます。
麻酔クリームを拭き取った直後に、自分でアフターケアクリームを重ねる必要はありません。
この時点はまだ「アフターケア」ではなく、これから施術する皮膚を施術者が洗浄・消毒・ステンシル(タトゥーデザインを肌へ転写する下絵)等のために整える段階です。
油分や別のクリームを追加すると、施術準備の邪魔になる可能性があります。
麻酔クリームの除去方法については、麻酔クリームの使い方|準備・塗り方5STEP・注意点で詳しく整理しています。
施術直後にアフターケアクリームを塗ってもいい?
タトゥー直後の皮膚は、針によってバリア機能が損なわれた「新しい傷がある状態」です。
そのため、「アフターケア用と書かれているから何でもすぐ塗ってよい」とは考えません。
施術直後に、施術者が洗浄後の皮膚へ薄い軟膏を使ってから保護フィルムを貼る方法は実際にあります。
Cleveland Clinic(米国の医療機関)でも、施術者が薄い軟膏を塗って透明なバンデージ(保護用のフィルム・被覆材)で保護する流れが紹介されています。
一方で、家庭にある市販薬や、傷への使用を禁止している製品を自己判断で施術直後へ塗るのは別の話です。
商品表示に「傷口へ使用しない」とある場合は、その注意を優先してください。
セカンドスキン中と剥がした後のケア
セカンドスキン・保護フィルムを貼っている間はクリーム不要?
基本的には、フィルムを貼ったまま、その上からクリームを塗る必要はありません。
フィルム自体がタトゥー部位を外部刺激から保護しているため、上から保湿剤を塗ってもタトゥー面には届きません。
一般社団法人 日本タトゥーイスト協会のアンケートでも、「フィルムドレッシングを貼っている場合はケアは特にせず、剥がした後から保湿する」という方法が報告されています。
ただし、フィルム製品によっては交換時に、ごく薄いアフターケア製品を塗ってから新しいフィルムを貼る方法を案内しているものもあります。
たとえばSaniderm(タトゥー用の透明保護フィルムブランド)では、皮膚の状態によって再貼付時に薄いローションや軟膏を使う方法を案内しています。
そのため、「フィルム中は絶対に何も塗らない」「必ず軟膏を塗ってから貼る」のどちらかに統一せず、使用しているフィルムの説明書と施術者の指示を優先してください。
フィルムの期間や剥がし方は、タトゥーのセカンドスキンはいつまで貼る?剥がす時期と注意点で詳しく解説しています。
フィルムを剥がした後は何を塗る?
最終的にフィルムを外した後は、やさしく洗浄して水分を押さえるように取り、十分に乾かしてから次のケアへ移ります。
乾燥・つっぱりが気になる場合は、施術者から案内されたアフターケア用品や、傷のある皮膚への使用方法が明確な製品を薄く使用します。
Sanidermも、最終的にフィルムを外した後は、洗浄・乾燥のうえで薄いアフターケアバーム(保湿・保護用の軟膏状製品)等を使用する方法を案内しています。
Cleveland Clinicも、バンデージを外した後の最初の週は、やさしく洗浄し、シンプルな保湿剤や推奨された軟膏で乾燥・ひび割れを防ぐ方法を紹介しています。
ただし、まだ出血している、浸出液(傷口から出る透明〜薄黄色の液体)が多い、皮膚が大きくめくれている、強い炎症があるといった場合は、一般的なボディクリームを塗る段階ではありません。
施術者へ状態を伝え、症状が強い場合は医療機関へ相談してください。
ワセリン・オロナイン・メンソレータムは代用できる?
身近な製品でも、保湿剤・医薬品・清涼感のある外用薬では、目的が違います。
「家にあるから」という理由だけで、新しいタトゥーへ代用しないことが大切です。
白色ワセリンなど
国内のタトゥー現場では使用例があります。
一方で、米国皮膚科学会(AAD)やCleveland Clinicは、治癒中のタトゥーで石油系製品を避ける考え方を示しています。
一律にOK・NGと決めず、施術者の方針を優先してください。
オロナインH軟膏
「きず」などの効能を持つ第2類医薬品で、クロルヘキシジン(殺菌成分)を含みます。
タトゥー専用の保湿剤ではないため、予防目的で何となく使うのではなく、使用目的と商品表示を確認してください。
メンソレータム軟膏c
公式の使用上の注意で、「傷口」への使用が禁止されています。
メントール、カンフル、ユーカリ油なども含むため、新しいタトゥーへの代用品にはしません。
一般的なボディクリーム
香料・清涼成分など刺激になりやすい成分が多い製品は避け、治癒中はシンプルで低刺激なものを優先します。
施術直後へ、初めて使う化粧品を自己判断で塗るのは避けてください。
タトゥー用アフターケア製品
専用品でも、傷口に使えるか、いつから使う製品なのかは商品ごとに異なります。
「タトゥー用」という表示だけで、施術直後から使えるとは判断しません。
オロナインはタトゥー後に使える?
オロナインH軟膏は、クロルヘキシジングルコン酸塩(殺菌成分)を有効成分とする第2類医薬品です。
公式の効能・効果には「きず」が含まれており、大塚製薬も「殺菌成分配合の軟膏が患部を覆ってケアする」製品として案内しています。
日本タトゥーイスト協会のアンケートでも、実際にオロナインを案内している施術者がいることが確認できます。
添加物にはグリセリン、オリブ油、ワセリンなども含まれますが、製品としての位置付けは保湿剤ではなく、傷などに使用する医薬品です。
そのため、「タトゥー後の保湿剤の代わりとして使う」のではなく、傷に使う医薬品として製品表示に従って使用すると考えるのが分かりやすいでしょう。
広範囲、湿潤やただれがひどい場合、深い傷などは、使用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談するよう公式にも案内されています。
タトゥー後に使うか迷う場合は、施術者のアフターケア方針と商品表示の両方を確認してください。
メンソレータムは代用できる?
「メンソレータム」という名称には複数の商品がありますが、代表的なメンソレータム軟膏cについては、新しいタトゥーへの代用には向きません。
公式の使用上の注意で、湿疹・かぶれ・傷口には使用しないと明記されています。
さらに、メントール、カンフル、ユーカリ油などの局所刺激成分を含むため、施術直後の皮膚へ「家にあるから」という理由で使わないでください。
ワセリンはダメ?国内の現場と皮膚科情報で考え方が違う
タトゥーのアフターケアでは、ワセリンについて正反対の情報を見かけることがあります。
日本タトゥーイスト協会のアンケートでは、ワセリンを薄く使用する方法を案内している施術者がいる一方、タトゥー専用品や別の保湿剤を勧める回答もあり、方法は統一されていません。
一方、米国皮膚科学会(AAD)は、タトゥーした皮膚が乾燥する場合には水性のローションやクリームを使うことを案内し、石油系製品については色あせにつながる可能性があるとして注意を促しています。
Cleveland Clinic(米国の医療機関)も、治癒中は石油系のワセリンを避ける考え方を示しています。
このため当サイトでは、ワセリンを「絶対に使う」「絶対に禁止」と一律に決めず、施術者が採用しているケア方法を確認し、自宅で自己判断して厚く長期間塗り続けないという整理にします。
アフターケアクリームはどう選ぶ?
タトゥー用・アフターケア用として販売されている製品でも、使用できる皮膚の状態・使い始めるタイミング・注意事項は商品ごとに異なります。
「専用品だから施術直後から使える」と決めず、商品表示と施術者の案内を確認してください。
当サイト取扱いのビタミンA+D軟膏タイプはいつ使う?
当サイトでは、タトゥー後の肌ケア用としてビタミンA+D軟膏タイプのアフターケア商品を取り扱っています。
使用するときは、商品ページに記載された使用上の注意を確認し、皮膚の状態に合わせて判断してください。
施術直後や、出血・浸出液(傷口から出る透明〜薄黄色の液体)がある状態では自己判断で使用しません。
また、保護フィルムを貼っている間は、フィルムの上から塗る必要はありません。
フィルムを外した後も、傷・出血・強い赤みなどが残っている場合は、まず皮膚の状態を確認してください。
皮膚表面が落ち着いてから使用を検討する場合も、商品表示と施術者の案内を優先します。
ビタミンA+D軟膏タイプの商品情報・注意事項を見る
かさぶた・皮むけ・治癒後のケア
かさぶた・皮むけ・かゆみがあるときはどうする?
タトゥー後は、治癒過程で皮むけやかさぶた、かゆみが出ることがあります。
この時期に避けたいのは、かさぶたや薄皮を無理に剥がすことです。
乾燥によるつっぱりが気になる場合は、施術者から案内された方法で保湿し、掻いたり剥がしたりせず自然に落ちるのを待ちます。
詳しくはタトゥー・刺青後のかさぶたは剥がしていい?正しいケアで解説しています。
治った後も保湿は必要?
表面が落ち着いた後は、施術直後の「傷のケア」から通常のスキンケアへ少しずつ移行します。
AADは、タトゥーした皮膚が乾燥する場合には水性のローションやクリームで保湿すること、紫外線から皮膚を守ることを勧めています。
治癒後は、普段使い慣れた保湿剤と紫外線対策を基本に考えればよく、アフターケア専用品を永久に使い続ける必要はありません。
日焼け止めを使うタイミングや紫外線対策については、タトゥーは日焼けで色あせる?紫外線対策と日焼け後の対処法も参考にしてください。
こんな症状はクリーム選びより医療機関への相談を
タトゥー直後には、ある程度の赤み・ヒリつき・少量の浸出液などが見られることがあります。
ただし、次のような症状が強い、広がる、日ごとに悪化するといった場合は、感染や強い皮膚反応なども考える必要があります。
- 赤みや腫れが周囲へ広がっている
- 触ると強く熱を持っている
- 黄色・緑色などの膿が出る
- 悪臭がある
- 強い痛みが続く、または悪化する
- 発熱・悪寒・強いだるさがある
- じんましん、息苦しさなど全身症状がある
このような場合は、オロナインや別のクリームへ変更して様子を見るのではなく、皮膚科などの医療機関へ相談してください。
よくある質問
Q
セカンドスキンを貼っている間もクリームを塗りますか?
フィルムを貼ったまま上から塗る必要はありません。
フィルムを交換するときに軟膏を塗るかどうかは製品によって異なるため、フィルムの説明書と施術者の指示を確認してください。
Q
タトゥー直後にアフターケアクリームを塗ってもいいですか?
施術者が施術直後に適切な軟膏を薄く使う方法はありますが、家庭にあるクリームを自己判断で追加するのとは別です。
使用する製品が傷のある皮膚に使えるかを確認し、施術者のアフターケア方法を優先してください。
Q
麻酔クリームを拭き取った後にアフターケアクリームを塗りますか?
施術前であれば、基本的には塗りません。麻酔クリームを十分に除去し、使用状況を施術者へ伝えてください。
アフターケアはタトゥー施術後の皮膚管理です。施術前の皮膚には、施術者が必要な洗浄・準備を行います。
Q
施術の数日前から保湿しておくといいですか?
乾燥しやすい肌なら、施術の数日前から普段使い慣れた保湿剤で傷のない皮膚を整えておくのは選択肢です。
ただし、アフターケア用の薬や軟膏を事前に塗り込んでおく必要はありません。当日は施術者の案内に従い、油分の多い製品を自己判断で直前に塗らないようにします。
Q
オロナインで代用できますか?
オロナインH軟膏は「きず」等の効能を持つ医薬品で、実際にタトゥー後へ案内している施術者もいます。
ただしタトゥー専用保湿剤ではなく殺菌成分を含むため、誰にでも日常的に代用できるとは言えません。商品表示を確認し、施術者・薬剤師等へ相談してください。
Q
メンソレータム軟膏は使えますか?
メンソレータム軟膏cは、公式の使用上の注意で傷口への使用が禁止されているため、新しいタトゥーには使用しません。
「メンソレータム」ブランドには複数の商品があるため、別の商品についてはそれぞれの表示を確認してください。
Q
ワセリンはタトゥー後に使ってはいけませんか?
国内の施術現場ではワセリンを使用する例がありますが、海外の皮膚科情報では治癒中のタトゥーへ石油系製品を避ける考え方もあります。
一律に禁止・推奨せず、施術者が案内したケア方法を優先してください。
まとめ|タトゥー後のクリームは「製品名」より「いつ使うか」が重要
タトゥー後のケアで迷ったときは、「有名な軟膏だから」「家にあるから」ではなく、今の皮膚状態に使える製品か、フィルムを使っているか、傷への使用が認められているかを確認することが大切です。
- 数日前:普段の保湿で皮膚を整える
- 当日・施術前:余分なクリームを追加しない
- 麻酔クリーム除去後:そのまま施術者へ引き継ぐ
- 施術直後:施術者のアフターケア方法を優先する
- フィルム中:基本的に上からクリームは不要
- フィルム後:洗浄・乾燥後、適切な保湿を薄く行う
- 異常がある:軟膏を次々試さず医療機関へ相談する
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参考・確認先
最終確認日:2026年9月
- 一般社団法人 日本タトゥーイスト協会「アフターケアに関する意識調査 アンケート結果」 — 国内の施術現場で使われているフィルム、ワセリン、オロナイン、ビタミンA+D入りクリーム等とケア方法の多様性を確認。
- Cleveland Clinic「Tattoo Aftercare Tips From a Dermatologist」 — 施術直後の保護、フィルム除去後の洗浄・保湿、治癒中に避けたいことを確認。
- American Academy of Dermatology「Caring for tattooed skin」 — タトゥーした皮膚の保湿と石油系製品・紫外線に関する皮膚科情報を確認。
- Saniderm「Guide to New Tattoo Care」 — 保護フィルム交換時と最終除去後のケア方法を確認。
- 大塚製薬「オロナインH軟膏」 — 効能・成分・用法を確認。
- ロート製薬「メンソレータム軟膏c」 — 成分と傷口への使用禁止を確認。
※日本タトゥーイスト協会のアンケートは施術現場の実例をまとめたものであり、掲載されている各方法の医学的有効性・安全性を保証するものではありません。医薬品は各製品の添付文書・表示を優先してください。
